全粒粉(ぜんりゅうふん)を使ったホームベーカリーでのパン作りは、たんぱく質やビタミン、食物繊維などの栄養価が高くてヘルシーなパンとして人気が高まっています。
だけど「全粒粉のパンがうまく膨らまない」というのは、意外と多い悩み。
その理由は、白い小麦粉と比べると全粒粉パンは膨らみにくい性質があるからなんですね。
今回は、膨らまない理由と対策、さらには初心者でも失敗しないおすすめの全粒粉やホームベーカリーについて分かりやすく解説します。
全粒粉がホームベーカリーで膨らまない理由3つ!

全粒粉の粒度が粗くグルテン形成を妨げる
全粒粉は、小麦の外皮(ふすま)や胚芽などを含む「まるごと粉」なので、粉の粒が粗くなりやすいという特徴があります。
この粗い粒子が、パンのふわふわ食感を作るために欠かせないグルテンの形成を妨げてしまい膨らまないことも。
グルテンとは、生地を膨らませる気泡をしっかり保つ役割を担うたんぱく質の構造です。
それが弱いと、発酵で生まれるガスを支えきれず、結果としてパンの膨らみが悪くなります。
特に、スーパーなどで手に入る一般的な全粒粉は粒が粗い傾向が強く、強力粉と比べて膨らみにくいのはこのためです。
これは、全粒粉の栄養価が高いことと引き換えに起こるデメリットの一つでもあります。
水分の吸収量が多く生地が固くなる
全粒粉は、水分を非常によく吸収します。
これは、含まれる食物繊維の働きによるもので、通常の強力粉と同じ分量の水で作ると、生地が固くなりがちです。
ホームベーカリーの基本レシピをそのまま全粒粉で作ると、生地が緩まず、膨らまない…という失敗につながることがよくあります。
グルテン含有量が少ない
全粒粉は、小麦のすべての部分を挽いて作るため、パン作りに必要なグルテンを作るたんぱく質の割合が、強力粉よりも少なくなっています。
グルテンはパン生地の骨組みとなり、発酵によって発生するガスをしっかり閉じ込める役割を担います。
そのため、グルテンの量が少ないと生地の弾力が弱まり、ガスを保持できず膨らまない原因となり、食感にも影響を及ぼしてしまいます。

全粒粉100%のパンをふわふわに柔らかくする5つのポイント

「全粒粉のパンは固くて重い…」そんなイメージを持っていませんか?
実は、ちょっとした工夫で100%全粒粉でもふわふわ・しっとり食感のパンが作れます!
水分量は10〜15%増やすのがカギ
全粒粉は水分をとてもよく吸収します。
そのため、通常のレシピよりも水分を10〜15%ほど多めに加えるのがポイント!
水分が不足すると生地が固くなり、うまく膨らまない原因になるので注意が必要です。
油脂を加えてしっとり&ふわふわに
バターやオリーブオイルなどの油脂を加えると、生地がしっとりしやすくなります。
油脂は生地の水分保持力を高め、焼き上がりをふんわりさせてくれる効果も◎。
特にトーストせずそのまま食べたいときは、忘れずに入れましょう。
酸性素材を少しだけ加える
意外な裏ワザとして、レモン汁やヨーグルトを少量加えるのもおすすめです。
酸性の素材はグルテンを柔らかく伸びやすくし、ふんわり感をアップしてくれます。
入れすぎると風味が変わるので、ほんのひとさじでOK。
しっかりこねて、しっかり発酵
全粒粉はグルテンができにくいので、生地がつるんとまとまり、膜が張るようになるまでこねましょう。
その後は一次発酵をしっかり取ることも忘れずに!

ホームベーカリーにおすすめの全粒粉3選!

ホームベーカリーでおいしい全粒粉パンを焼きたいなら、
実は「どの全粒粉を使うか」がとっても重要なポイントです。
微細挽きタイプを選ぶのが成功のカギ
おすすめは、粒が細かくきめ細やかな“微細挽きタイプ”の全粒粉。
水分となじみやすく、グルテンも形成されやすいため、パンがふわふわに焼き上がります。
粗挽きタイプだと生地がまとまりにくく、膨らまない事があるので、初心者さんは微細挽きから試すのが◎。
初心者さんに人気の国産全粒粉
はじめて全粒粉パンを作る方には、以下の国産ブランドが特におすすめです。
- 春よ恋(全粒粉)
- キタノカオリ(全粒粉)
どちらも扱いやすく、焼き上がりの香ばしさや風味も抜群。
パン作りがグッと楽しくなる粉です。
オーガニック志向の方には有機JASマーク付きが安心
添加物が気になる方やオーガニックにこだわりたい方は、有機JASマーク付きの全粒粉を選びましょう。
安全性に配慮された粉は、家族みんなで安心して楽しめます。
全粒粉パンに最適なホームベーカリーは?選び方とおすすめ3選!

選ぶポイントは3つ!失敗しないホームベーカリーの選び方
- 「全粒粉コース」や「ハード系パン対応」の有無
- こね性能が高い(モーターが強く、グルテンをしっかり作れる)
- 焼き色や発酵時間が細かく設定できるもの
全粒粉パンにおすすめのホームベーカリー3選
パナソニック SD-MDX4
家庭用ホームベーカリーの中でも、機能・信頼性ともにトップクラスなのが、パナソニックのSD-MDX4。
「本当においしい全粒粉パンを焼きたい」そんな本気のパン作り派に選ばれているモデルです。
最大の特徴は、「全粒粉パンコース」や「ハード食パンコース」などが標準搭載されている点。
この機能により、粒が粗くてグルテンが作りにくく膨らまないことが多い全粒粉のパンでも、しっかりとふっくら焼き上げてくれます。
さらに注目すべきは、独自のインバーターモーターによる“緩急のあるこね”と“温度制御された発酵”。
まるでパン職人が手ごねしたような、きめ細かく弾力のある生地が仕上がります。
レーズン・ナッツ自動投入、時短パン、米粉パンなど、幅広いメニューも魅力。
シロカ SHB-722
「はじめてのホームベーカリー、できれば価格は抑えたい…」
そんな方にぴったりなのが、シロカ SHB-722です。
このモデルは、シンプルな操作性と高コスパが魅力。
全粒粉パン専用のコースはないものの、水分量の調整とこね時間に気をつければ、膨らまないという失敗も防げて、全粒粉100%のパンも十分ふんわりと焼けます。
「全自動こね・発酵・焼き上げ機能」つきで、材料を入れるだけでOK。
パン以外にも、ピザ生地・もち・甘酒なども作れる多機能タイプなのに、1万円前後で手に入るというコストパフォーマンスの高さが大人気の理由です。
コンパクトサイズで場所を取らないのもうれしいポイント。
ツインバード BM-EF38B
全粒粉パンや低糖質パンに挑戦したい方におすすめなのが、ツインバードのBM-EF38B(ブラック)。
このモデルの魅力は、なんといっても「低糖質パン専用コース」を搭載していること。
糖質が控えめな材料や全粒粉のような水分吸収の多い粉でも、しっかり対応できる設計になっているんです。
モーターのパワーも強く、膨らまないことが多い全粒粉のような粉でもしっかりこね上げてくれるため、ふっくら焼き上げが可能。
操作もシンプルで、パン作り初心者さんでも扱いやすいのがポイントです。
また、焼き色の調整やタイマー機能も充実していて、毎日のパン作りにちょうどいい頼れる1台。
デザインもスタイリッシュなブラックで、キッチンに置いてもおしゃれです。
全粒粉はどこで買える?

スーパーや製菓材料店で手軽に購入できる
最近では、一般的なスーパーの製菓コーナーや製パン材料売り場でも、全粒粉を見かけるようになってきました。
ただし多くの場合は粗挽きタイプが主流なので、ホームベーカリーでふわふわパンを目指すなら、ラベルに「微細挽き」や「細挽き」と書かれた商品を選ぶのがおすすめです。
ネット通販なら種類豊富で選び放題!
Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなどのネット通販では、国産・外国産、有機JAS認証のオーガニック全粒粉など、さまざまな種類の中から選ぶことができます。
自分好みの粒度や産地、価格帯などで比較検討しやすく、初めての方にもぴったり。
特に「春よ恋」「キタノカオリ」などの人気銘柄もネットなら手に入りやすいです。
地元の製粉所やパン屋さんで手に入ることも
地域によっては、地元の小麦を製粉して販売している製粉所や、国産小麦にこだわったパン屋さんや自然食品店でも全粒粉が買えることがあります。
品質の良さはもちろん、店員さんに直接おすすめの使い方を聞けるのも魅力。
地産地消にこだわる方には特におすすめの入手先です。

よくある質問(FAQ)

まとめ
全粒粉パンがホームベーカリーでうまく膨らまないのは、粒の粗さや水分吸収量、グルテン量の違いが原因です。
しかし、水分量を増やしたり、微細挽きの粉を選んだり、少量の油脂や酸性素材を加えることでふわふわの仕上がりに近づけます。
また、ホームベーカリーの選び方も重要。
全粒粉コースやしっかりしたこね機能がある機種を選びましょう。
今回紹介した内容を参考に、自分好みの全粒粉パンをぜひ楽しんでくださいね!