
こんにちは、現役パン教室講師/教室運営コンサルタントのyuiko です。
イースト臭が苦手という自分の体質から、国産小麦を使ったオーバーナイト製法のパン作りにたどり着きました。
現在は、素材の良さを活かしたパン作りを伝えるオーバーナイト専門のパン教室を主宰しています。
また、cottaパートナーとしても活動中。
パン作りの途中で「無塩バターがない」と気づき、有塩バターで代用して失敗した経験はありませんか?
パン作りに慣れていないと、有塩バターを使うことで生地が膨らまない原因になったり、味が濃くなったりと、意外な落とし穴にハマりがちです。
この記事では、パン作りで有塩バターを代用すると膨らまない理由や、塩分を調整する具体的な方法、そして有塩バターで美味しく焼ける簡単レシピまで、初心者にもわかりやすく解説します。
「有塩バターしかないけど、パンが作りたい」
「代用って本当にうまくいくの?」
そんな疑問に答えながら、塩分量の調整方法やホームベーカリーでの使い方、マーガリンやオイルでの代用の可否まで、実用的な情報をまとめました。
パン作りの失敗を防ぐためにも、まずは正しい知識を押さえておきましょう。
パン作りで有塩バターを代用すると膨らまない理由とは?
塩の量によって失敗しやすくなる
パン作りで失敗する一因が、塩分の過剰摂取です。
有塩バターにはあらかじめ塩が含まれているため、レシピ通りの塩を加えてしまうと、塩分過多になりやすいのです。
これにより、発酵の進みが悪くなったり、パンの風味が強くなりすぎたりと、さまざまなトラブルが発生します。
とくに初心者がつまずきやすいのがこの「見えない塩」。
バターの塩分を計算に入れていないことが原因で、うまく膨らまないことも。
対処法としては、レシピの塩を1〜2gほど減らすこと。
また、使用するバターのパッケージを確認し、塩分表示があるかをチェックすると安心です。
塩分量が不明な場合は、一度味見してから塩を控えめにするのが無難です。
パン作りは繊細な作業。
塩のわずかな違いが、仕上がりに大きく影響することを覚えておきましょう。
塩が多いとイーストの発酵を妨げる
パン作りで最も重要な工程のひとつが発酵です。
イースト菌は塩に弱い性質を持っており、塩分が多いと発酵力が著しく低下します。
有塩バターを使う場合、バターに含まれる“見えない塩分”が発酵の妨げになることも少なくありません。
特に塩とイーストが直接触れてしまうと、酵母の活動が抑制され、生地の膨らみが悪くなる原因になります。
この現象は、一次発酵で最も顕著に現れます。
思うように生地が膨らまなかったり、焼き上がりが硬かったりする場合、塩分量がイーストの活動を邪魔している可能性が高いです。
そのため、有塩バターを使用するときは、塩を減らすだけでなく、塩とイーストを直接触れさせない工夫も重要になります。
ちょっとした配置ミスや分量のズレで、パンの出来は大きく変わります。
イーストの働きを活かすために、塩分と配置を意識することが、ふんわりとしたパンへの第一歩です。


塩を減らせば有塩バターでも代用できる
「有塩バターしかないからパン作りは無理」
そんなことはありません。
塩を適切に調整すれば、有塩バターでも問題なくパンは作れます。
重要なのは、有塩バターに含まれる隠れた塩分を見越して、レシピの塩を減らすこと。
一般的に、有塩バター10gあたりに含まれる塩分は約0.2g〜0.3g。
この数値を目安に、加える塩を1〜2gほど引き算すれば大きな失敗は避けられます。
また、食パンなどシンプルなパンほど、塩味のバランスが味を左右します。
塩分が強すぎると生地が締まり、焼き上がりの口当たりも固くなりやすいため注意が必要です。
レシピを丸ごと変える必要はありません。
塩の量を少し見直すだけで、有塩バターも立派な代用品になります。
調整のコツをつかめば、むしろバターの風味が際立ち、味わい深いパンに仕上がるメリットもあるのです。



私は無塩バター、有塩バター共によつ葉がお気に入りです。
膨らまないのは計量ミスが多い
パンが膨らまないとき、「有塩バターのせい」と思い込む人が多いですが、実はもっと多い原因が“計量ミス”です。
パン作りは水分・粉・塩・砂糖・イーストすべてがシビアなバランスで成り立っています。
どれかひとつでも多すぎたり少なすぎたりすれば、発酵や焼き上がりに大きく影響します。
特に初心者にありがちなのが、“大さじ・小さじ”でおおまかに測ってしまうこと。
パン作りでは1gの差が食感や膨らみに直結するため、必ずスケールを使って計量することが基本中の基本です。
さらに、塩やイーストの投入位置にも要注意。
イーストの真上に塩をのせると、発酵力が落ちる原因になります。
材料の順番や配置にも気を配ることで、失敗は確実に減らせます。
原因を一つに決めつけず、基本を見直すことがパン作り成功のカギです。


パン作りには、0.1gから計量できる電子スケールがあると便利です。
安いものは誤差が出やすいので、私はタニタの電子スケールを使用しています。
有塩バターを使った簡単パンレシピ
もちもち食感♪塩パン
市販の塩パンが好きな方にぜひ試してほしいのが、DELISH KITCHENの「もちもち食感♪塩パン」レシピです。
このレシピでは、有塩バターの塩気を活かしながら、外はカリッと中はもっちりとした理想的な食感が楽しめます。
パン作りが初めてでも挑戦しやすく、こね時間や発酵の流れも動画で丁寧に解説されているため、失敗しにくいのも魅力。
「有塩バターしかないけど、美味しいパンを焼きたい」そんなときにぴったりのレシピです。
手軽で本格的な塩パンを、ぜひ一度お試しください。
カスタードたっぷり!クリームパン
甘いパンが食べたい気分の日にぴったりなのが、カスタードたっぷりのクリームパンです。
ふんわりとした生地に、自家製カスタードがとろっと溢れるように入った一品は、子どもから大人まで大人気。
焼き立てはもちろん、冷めても美味しいのが魅力です。
バニラビーンズやラム酒を加えれば、本格派の仕上がりにもアレンジ可能です。
また、クリームをたっぷり包み込む成形も楽しく、作る工程自体が癒しの時間に。
冷凍保存もできるので、作り置きしておやつや朝食にもおすすめです。
パン作り初心者でも挑戦しやすく、家族にも喜ばれるクリームパン。
とろけるようなカスタードの美味しさを、ぜひ一度味わってみてください。


30分でこねずにできる魔法のパン*ヨーグルトテーブルパン
忙しい日でも焼きたてパンが食べたい――そんな願いを叶えてくれるのが、cottaの「30分でこねずにできる魔法のパン*ヨーグルトテーブルパン」レシピです。
名前の通り、こね作業なしで短時間で仕上がるのが最大の魅力。
しかも、ヨーグルト入りでふんわりもっちりとした食感が楽しめます。
手間をかけずに作れるこのパンは、子どもの朝食やスープに添えるサイドメニューにもぴったり。
材料もシンプルで揃えやすく、初心者でも失敗しにくい構成になっています。
「今日はこねる気力がない」そんなときの定番レシピにしたくなる、時短×美味しさの優秀パン。
焼きたての香ばしさを、ぜひご自宅で気軽に楽しんでみてください。
香ばし全粒粉のチーズパン
チーズの香りと全粒粉のコクを同時に楽しみたい方におすすめなのが、cottaの「香ばし全粒粉のチーズパン」レシピです。
このレシピは、全粒粉の香ばしさと、チーズの塩気が絶妙にマッチしたお食事系パン。
サンドイッチにも、スープのおともにも相性抜群です。
ポイントは、粉の一部を全粒粉に置き換えることで、食感と風味に深みが出ること。
さらに、角切りチーズを混ぜ込むだけで、生地の中からとろけるようなコクが広がります。
「全粒粉の扱いが難しそう」と感じる方でも、cottaの丁寧なレシピなら安心して挑戦できます。
噛むほどに香ばしく、飽きのこないパンを作りたい方にぴったりの一品です。
焼き立ての香りと風味を、ぜひ自宅で味わってみてください。
ホームベーカリーで有塩バターは使える?失敗しない使い方のコツ
ホームベーカリーでも有塩バターは使えるが塩の量に注意
ホームベーカリーでも有塩バターは問題なく使用可能です。
ただしそのまま使うと、塩分の重複によりパンが塩辛くなったり、膨らみにくくなることがあります。
有塩バターには10gあたり約0.2〜0.3gの塩分が含まれており、これを考慮せずにレシピ通りの塩を加えると、塩分過多になって発酵の妨げに。
対策としては、レシピの塩を1〜2g程度減らすこと。
また、パンの種類によっても仕上がりは異なります。
全体の塩分が少ない菓子パンより、食パンや塩パンなど、もともと塩気のあるパンに向いています。
さらに、塩とイーストを近づけないようにするなど、基本的な材料配置も意識することが大切です。
ホームベーカリーは材料を全て入れるだけの手軽さが魅力ですが、配合のバランスを誤ると失敗の元になります。
有塩バターは便利な代用品。
使い方を理解していれば、風味豊かで美味しいパンが作れます。


レシピが無塩バター指定でも有塩バターで代用できる
パン作りのレシピに「無塩バター」と書かれていても、有塩バターでの代用は可能です。
大切なのは、レシピ通りに塩を入れないこと。
有塩バターにはすでに塩分が含まれているため、別途加える塩の量を調整するだけで十分対応できます。
一般的には、有塩バター10gにつき塩分は約0.2〜0.3g程度。
たとえばレシピで3gの塩が指定されている場合、有塩バター20gを使うなら、塩は1gほど減らしてOKです。
この計算さえ押さえておけば、風味を損なわずバターのコクも活かしたパンが焼き上がります。
また、有塩バターのコクと塩気は、シンプルなパンやお食事パンとの相性が抜群です。
一方、あんパンやミルクパンなどの甘めのパンでは、塩味が少し目立つことがあるため注意が必要。
「無塩じゃないから作れない」は思い込み。
塩の量を微調整すれば、有塩バターでも十分おいしいパンは作れます。
バターの種類よりも計量と発酵温度の管理が重要
パン作りでうまくいかないとき、多くの人が「有塩バターのせい」と思いがちですが、実際の原因はバターの種類より“基本の工程”にあることがほとんどです。
特にホームベーカリーの場合は、正確な計量と発酵温度の管理が仕上がりを大きく左右します。
有塩でも無塩でも、材料をグラム単位できっちり測ることが最優先。
大さじや目分量では、わずかなズレが膨らみに大きく影響します。
また、イーストと塩が直接触れるような配置も発酵不良の原因になります。
しっかり計量し、塩はイーストから離して加えましょう。
さらに、水の温度にも注意が必要です。
気温の低い冬場は30〜40℃のぬるま湯を使うなど、発酵に適した環境を整えることが大切です。
つまり、バターが有塩か無塩か以上に、計量・配置・温度の基本がパン作りの成否を分ける要素。
ここを押さえれば、どちらのバターでも安定した仕上がりが叶います。


パン作りに使う有塩バターの塩の量はどれくらいが適切?
有塩バター10gで塩0.2g〜0.3gが含まれている
パン作りで有塩バターを使う場合、まず知っておくべきなのが**「有塩バターにも塩が含まれている」という前提です。
一般的に、有塩バター10gには約0.2g〜0.3gの塩分が含まれています**。
これはメーカーや商品によって微妙に異なるため、成分表示を見ることが非常に重要です。
たとえば20gの有塩バターを使うなら、すでに0.4g〜0.6gの塩が入っているということ。
レシピ通りに塩を加えると、塩分の取りすぎや発酵への悪影響につながる可能性があります。
特にイーストは塩分に敏感で、多すぎると発酵が遅れたり、生地が締まりすぎることも。
「ほんの少しの差」と思われがちですが、パン作りは1g単位の精度が仕上がりを左右する世界。
無塩と有塩の違いは、こうした数値から来るもので、正しい知識があるかどうかが成功率を左右します。
まずはバターの塩分を確認するクセをつけておきましょう。
有塩バターを使うならレシピの塩を1〜2割減らす
有塩バターを使ってパンを焼くなら、レシピの塩を1〜2割減らすのが基本の調整法です。
たとえば、レシピに「塩3g」と書かれていて、有塩バター20gを使う場合、塩を2g程度に減らすのが目安。
この程度の調整でも、塩分過多による発酵不良や塩辛さを防ぐことができます。
あくまで目安であり、パンの種類によって微調整が必要です。
塩パンやチーズパンなど塩気が活きるパンならそのままでも良いですが、あんパンやミルクパンでは塩味が浮きやすくなるため、しっかり引き算するのが正解です。
塩分量に不安がある場合は、思い切って塩を一旦抜き、焼き上がり後に味を調整するという方法もあります。
パンは“焼く前”に味が決まるため、事前の計算と塩の見直しが成功への鍵。
「なんとなく」ではなく「根拠を持って調整する」姿勢が、パンの完成度を高めます。


無塩バターがないときの代用方法
有塩バターを使う場合は塩を減らす
無塩バターが手元にないとき、最も現実的な代用が有塩バターを使って塩を減らす方法です。
有塩バターには10gあたり0.2g〜0.3gの塩分が含まれているため、レシピの塩を1〜2g減らすのが基本。
この調整を行えば、風味や発酵への悪影響を防ぎつつ、美味しく焼き上げることができます。
注意点として、パンの種類によって塩気の影響度が異なること。
食パンや塩パンのように塩気が活きるパンでは多少残っていても問題ありませんが、甘いパンや子ども向けのパンでは、塩味が強く出やすいため調整は慎重に。
また、発酵に影響が出ないように、イーストと塩の投入位置にも気を配る必要があります。
基本を守れば、有塩バターでも十分代用できる素材です。
“ないから作れない”ではなく、“調整して作る”を選べるのが、上達の第一歩です。
マーガリンでも代用できるが風味が変わる
マーガリンも無塩バターの代用品として使えますが、バターとは明確に風味と食感が異なります。
特にパン作りでは、乳脂肪のコクや香りが焼き上がりの印象を大きく左右するため、差が出やすい素材です。
マーガリンの良い点は、価格が安く扱いやすいこと。
焼きたて直後のふわっと感は十分得られますが、冷めたときにコクが弱く感じられることがあります。
また、マーガリンにも塩分が含まれていることが多いため、有塩バターと同じようにレシピの塩は調整が必要です。
「バターの風味にこだわりたい」「生地の香りも楽しみたい」という方には物足りなさを感じる可能性もありますが、
普段使いのパン、特におかず系のパンには十分対応可能。
味の違いを理解したうえで使えば、マーガリンも便利な代用素材になります。
オイル系は代用不可ではないが食感に影響が出やすい
サラダ油やオリーブオイルなどのオイル系脂肪分も代用は可能ですが、注意点が多い素材です。
まず、バターやマーガリンと違い、水分と乳脂肪が含まれていないため、生地の柔らかさや風味が大きく変わります。
具体的には、パンのしっとり感やリッチさが出にくく、軽い食感になる傾向があります。
また、油の種類によってはパン自体の香りに強く影響し、仕上がりの好みが分かれることも。
たとえばオリーブオイルは独特の香りが出やすく、甘いパンには不向きです。
一方で、フォカッチャやピタパンなど、もともとオイルを使う前提のレシピには相性が良いです。
代用は可能ですが、まったく同じ食感や味にはならないことを理解して使うことが大切。
バターのコクを求めるなら、オイル系はやや上級者向きの選択肢です。


よくある質問(FAQ)


まとめ
パン作りにおいて、「無塩バターがない=作れない」は思い込みです。
有塩バターでも塩の量を調整すれば、問題なく代用できます。
重要なのは、有塩バターに含まれる塩分を把握し、レシピの塩を1〜2g減らすこと。
また、発酵に影響しないようイーストと塩を離して配置するなど、基本の手順も丁寧に行うことが成功のカギです。
マーガリンやオイルでの代用も可能ですが、風味や食感に差が出やすいため、用途に合わせた使い分けが必要です。
ホームベーカリーでも、同様に塩分の管理と計量ができていれば、有塩バターは十分使えます。
今回紹介したレシピやコツを活かせば、わざわざ無塩バターを買いに行かなくても、美味しいパンは作れます。
手持ちの材料をうまく活かしながら、柔軟にパン作りを楽しんでいきましょう。