
こんにちは、現役パン教室講師/教室運営コンサルタントのyuiko です。
イースト臭が苦手という自分の体質から、微量イースト&国産小麦を使ったオーバーナイト製法のパン作りにたどり着きました。
現在は、素材の良さを活かしたパン作りを伝えるオーバーナイト専門のパン教室を主宰しています。
また、cottaパートナーとしても活動中。
パン作りでレーズンを使うとき、意外と見落とされがちなのが「オイルコーティングのレーズンを湯通しする」という一手間です。
市販のレーズンは、乾燥を防ぐために表面にオイルが塗られているものがほとんど。
しかしこのオイルが、パン生地とレーズンのなじみを悪くし、発酵や焼き上がりに影響を与えてしまいます。
パン作りにおいて、レーズンは「混ぜればいい」というわけではありません。
オイルコーティングのレーズンは湯通しすることで、ベタつきが取れ、風味や食感がグッとよくなります。
この記事では、パン作りでオイルコーティングのレーズンを湯通しする理由を詳しく解説し、柔らかく仕上げるコツも紹介します。
初心者でも失敗しないよう、手順もシンプルに。
ふっくらおいしいレーズンパンを目指すなら、まずは下ごしらえから見直してみましょう。
パン作りでオイルコーティングのレーズンを湯通しする4つの理由


市販のレーズンには、乾燥を防ぐ目的でオイルが薄くコーティングされています。
しかし、この一見便利な加工が、パン作りにおいては意外な落とし穴に。
そのまま使うと、生地とのなじみが悪く、発酵にも悪影響を及ぼします。
そして何より、せっかくのレーズンの風味や甘さが活かされないのです。
湯通しをすることで、表面のオイルをしっかり落とせるだけでなく、レーズン自体も柔らかくなります。
手間は少しかかりますが、パンの仕上がりには大きく影響します。
ここでは、なぜ湯通しが必要なのかを4つの視点で解説します。
パンのクオリティをワンランク上げたいなら、見過ごせないポイントです。
①生地の水分を吸ってしまうのを防ぐため
乾燥したレーズンをそのまま入れると、生地中の水分をどんどん吸い取ってしまいます。
すると、焼き上がりがパサつきやすく、固くなってしまうことも。
これは、よくある失敗のひとつ。
「こねた時はよかったのに、焼き上がりが硬い」と感じたら、レーズンの下処理を見直すべきです。
湯通しでレーズンに水分を含ませれば、生地の水分バランスを守れます。
食感まで左右する重要ポイントです。



レーズンを使ったパンをレシピ通りに作ったのに、なぜか仕上がりがパサパサする…
というときは、レーズンの下処理をしたか確認してくださいね!
大半はこの見直しで改善されるはず!!
②パン生地とのなじみを良くするため
オイルコーティングされたレーズンは、表面がつるっとして生地にうまくなじみません。
そのまま練り込むと、生地からはがれて偏ったり、混ざりムラの原因になります。
湯通しをして油分を落とすと、レーズンが適度にしっとりし、生地に自然にフィットするようになります。
生地との一体感が出ることで、どこを食べても均等にレーズンの食感が楽しめるパンになります。
混ぜ込み系のパンでは、この一体感が仕上がりの美しさと味わいに直結します。
見た目も味も整える下準備、それが湯通しの力です。
③発酵の妨げを防ぐため
パン生地にとってオイルは、酵母の活動を妨げる敵にもなり得ます。
レーズン表面の油分が生地に移ると、グルテンの形成を阻害し、発酵が鈍くなる可能性があります。
発酵がうまく進まないと、膨らみが悪くなり、焼き上がりのボリュームも落ちてしまいます。
また、生地がダレやすくなるため、成形も思い通りにいかなくなることも。
湯通しをして余計な油を取り除けば、酵母もグルテンもしっかり働き、発酵は安定。
ふっくらとしたパンを焼きたいなら、この工程はスキップできません。
④レーズン本来の甘さと風味を引き出すため
コーティングされたオイルは、レーズンの香りや甘さを閉じ込めてしまいます。
そのまま使うと、味に深みが出ず、せっかくの素材が活かされません。
湯通しすることで表面の油を落とし、レーズンが水分を含んでふっくら戻り、甘さも香りも際立ちます。
パンを噛んだ瞬間に広がる自然な甘み。
それは、きちんと下ごしらえされたレーズンだからこそ得られるものです。
レーズンの甘さや食感をちゃんと活かすには、こうした下ごしらえが大切です。
ほんの少しの手間ですが、それだけでパンの仕上がりがぐんと変わります。


オイルコーティングを取らないと(油抜き)体に悪い?


市販のレーズンに使われるオイルは、保存性を高めるための加工です。
でも、パン作りに使うとなると話は別。
表面の油をそのまま摂取することになり、体への影響も気になります。
毎日食べるものだからこそ、見えない油に無頓着ではいられません。
オイルコーティングのまま使うのは、パンの仕上がりだけでなく、健康面でもデメリットが多いのが現実。
小さな一手間が、素材の良さも、食べる人の体も守ってくれます。
ここでは「オイルを落とす理由」を、プロの視点から5つの角度で詳しくお伝えします。
オイルは落としてから使うのが正解
レーズンの表面にぬられているオイルは、乾燥を防ぐためにつけられたものです。
でも、パンに使うときにはその油はもういりません。
そのまま使うと、いらない油まで体に入ってしまうこともあります。
とくに、小さなお子さんが食べるパンには気をつけたいところです。
お湯でサッと湯通しすれば、余分な油がしっかり取れて、安心して使えるようになります。
このひと手間が、体にもやさしくておいしいパンにつながるんです。
パン作りでは、素材を選ぶだけでなく、余計なものを取りのぞいてから使うのが大切なポイントです。
湯通しすれば安心して使える
油分が気になるレーズンでも、湯通しすればグッと安心感が増します。
お湯をかけることで、表面の油は簡単に落とすことができ、ぬめりも取れて清潔な状態に。
同時にレーズンがふっくら戻るので、食感も格段に良くなります。
見た目ではわかりにくいですが、湯通し前と後ではレーズンの風味も別物。
清潔に、美味しく、そして安全に。
パンの中に入る素材こそ、きちんと下処理してから使いたいものです。
油ごと使うのはおすすめしません
レーズンの表面にある油をそのままにして使うと、生地にうまくなじまず、混ざりムラができやすくなります。
焼き上がりにも、少し油っぽさが残ってしまうことも。
さらに、焼いている途中に油がにじみ出て、焦げやすくなる場合もあります。
パン作りは、シンプルな材料で仕上げるもの。
だからこそ、余計なものが入ると味や食感が落ちてしまいます。
一見便利そうな加工品でも、そのまま使えばいいとは限りません。
少しの下ごしらえが、仕上がりに大きく差をつけるポイントになります。
おいしいパンは、ていねいな準備から。
健康のためにも油は取り除こう
油をとりすぎると、体にとっては少しずつ負担になります。
とくにパンのように、毎日のように食べるものに使われていると、知らないうちに余分な油をとってしまうことも。
レーズンに使われているオイルの多くは植物油ですが、実は酸化しやすい性質があります。
酸化した油は、体の中で炎症のもとになることもあるため、できるだけ避けたいもの。
でも、湯通しをすればその油はしっかり落とすことができます。
素材のおいしさも引き出せて、体にもやさしい。
味と健康、どちらも大切にしたい人におすすめのひと手間です。
レーズンは油抜きしてから使うのが基本
パンだけでなく、お菓子や料理に使うときも、レーズンはまず油を落としてから使うのが基本です。
プロの現場では、湯通しは当たり前の下ごしらえ。
油がついたままだと、レーズンの風味がぼやけて、せっかくの仕上がりがいまひとつに見えてしまいます。
レーズンの本当のおいしさを引き出すには、まずいらないものを取り除くこと。
ちょっとの手間ですが、それだけで味も見た目もぐんと良くなります。
「レーズンは湯通ししてから使う」
それが、失敗しないための基本であり、おいしく仕上げるためのいちばんの近道です。


レーズンの油抜きと柔らかくする方法はレンジで簡単にできる!


湯通しが必要とはわかっていても、毎回お湯を沸かすのは面倒。
そんなとき頼りになるのが電子レンジです。
レンジ加熱なら、オイルも落とせてレーズンもふっくら。
加熱方法や戻し液を少し工夫するだけで、味わいや風味がぐんと変わります。
今回は、電子レンジでできる油抜き&戻しの方法を中心に、用途別の戻し方まで解説。
簡単なのに、仕上がりに差が出る。
レーズンをもっと美味しくするための下処理法をお伝えします。
電子レンジで簡単!レーズンの油抜きと柔らかくする方法
耐熱ボウルにレーズンを入れ、たっぷりの水を注ぎます。
ふんわりラップをして、600Wで1分半加熱。
加熱後は湯を切り、ペーパーで軽く水気を拭き取れば完了です。
この方法なら、表面のオイルもすっきり落ち、レーズンもふっくら柔らか。
時間も手間も最小限で、日常的に取り入れやすいのが魅力です。
短時間で済ませたいけれど、仕上がりは妥協したくない。
そんな人にこそ試してほしい、シンプルで効果的な方法です。
牛乳で戻すと柔らかくコクのあるレーズンになる
レーズンを牛乳で戻すと、まろやかでコクのある風味に仕上がります。
やり方は簡単。牛乳を注いでレンジで加熱するだけ。
600Wで1分半ほど加熱し、しばらく浸せばOKです。
牛乳の甘みがレーズンに移り、リッチな味わいになります。
菓子パンやブリオッシュに使うなら、この方法がおすすめ。
ミルキーで深みのある味が出せるので、レーズンの印象がガラッと変わります。
ひと味違うパンを焼きたいときに。
お湯・水・牛乳、どれで戻す?使い分けのポイント
レーズンを戻すときの液体選びは、仕上がりを左右します。
- お湯:最も短時間でふっくら。油抜きにも最適。
- 水:自然な甘みをキープ。素材の風味を大切にしたいときに。
- 牛乳:コクと甘みが欲しい時にぴったり。リッチ系のパン向き。
使うパンの種類や好みに合わせて戻し液を選ぶと、完成度が上がります。
素材に合った処理が、味の差を生み出します。
レンジ加熱でレーズンがふっくら甘くなるコツ
レンジ加熱でふっくら仕上げるためのポイントは、加熱前の「水の量」と「ラップの有無」。
水はたっぷり注ぎ、ふんわりラップをすることで蒸し状態に。
これでレーズンが芯までふっくら戻ります。
また、加熱しすぎると水分が飛びすぎて固くなるので注意。
600Wで1〜1分半が目安です。
加熱後はすぐに湯を切って、風味を閉じ込めましょう。
ちょっとしたコツで、レーズンの甘さが引き立ちます。
忙しいときはレンジ+牛乳で手軽に下処理!
時間がないときには、耐熱ボウルにレーズンと牛乳を入れてレンジへ。
600Wで1分加熱し、そのまま数分浸すだけ。
牛乳の甘みでふっくらしっとり、しかも風味もアップ。
朝のパン仕込みやおやつ作りにも、手軽で取り入れやすい方法です。
オイルも落ち、下処理と戻しを一度に済ませられるのが魅力。
忙しい中でも、手を抜きすぎたくない。
そんな人におすすめの時短テクです。
油抜き後はラム酒で漬けるのがおすすめ
油抜きしたレーズンは、そのまま使ってもよいですが、ラム酒に漬ければ香りと風味が格段にアップ。
洋酒の香りがパン生地に移り、焼き上がりが華やかに仕上がります。
漬け方は、消毒した保存容器にラム酒とレーズンを入れるだけ。
一晩〜数日でしっかり味がしみ込みます。
ブリオッシュやバターリッチな生地と相性抜群。
大人っぽいパンを焼きたいときのひと工夫としてぜひ。
オイルコーティングなしのレーズンは下処理いらずで使いやすい
最近はオイルコーティングされていない「ノンオイルレーズン」も多く販売されています。
これなら油抜きの手間がなく、そのまま使えるので時短になります。
ただし、水分が飛んで硬くなっている場合もあるので、軽く湯戻ししてもOK。
風味や甘みはそのままで、手間をかけずに使えるのが魅力です。
日常使いにはノンオイルタイプ、風味を追求したいときは下処理+ラム酒漬け。
レーズンの選び方も、パン作りの重要なポイントです。



私はいつも、ベーカリスタさんのノンオイルレーズンを使用していますよ。


よくある質問(FAQ)


まとめ
パン作りにレーズンを使うなら、オイルコーティングを湯通しで落とすのは基本中の基本です。
生地とのなじみを良くし、発酵を妨げず、レーズン本来の風味を引き出すためにも欠かせない工程。
しかも、健康面でも不要な油分は取り除くべきです。
忙しい日には電子レンジと牛乳を使えば、手軽に油抜きと戻しが一度にできて便利。
用途に合わせて戻し方を変えるだけで、パンの仕上がりに大きな差が出ます。
そして、仕上げにラム酒に漬ければ、香り高い大人の風味に。
レーズンの扱いを丁寧にすることで、パン全体の完成度が格段に上がります。
小さな一手間が、大きな違いを生むのです。